あれは夏休みの前日である7月20日の事だった。
終業式が終わり、俺は山崎と二人で下校しようとしてた。
「なぁ、市原。あいつ怪しくないか?」
山崎の指さす方を見ると、いかついサングラスをかけ頭に風船をつけた不審者がキョロキョロと辺りを警戒しながらメモ帳に何かをメモしてる。
俺らはそいつに近づき声をかけた。
「キィエェェェ~ッ!」
「わっ!!」
山崎は得意の奇声を発し、俺は背後から脅かしてやった。
「ぬわっ!な、何だ!テメエらはっ!」
「アハハハッ!こいつ、マジでビビってやがる。僕の超音波が効いたんだな。」
「ん?…おい、山崎。これ、下川のオッサンじゃねぇか?」
「そんな訳ないじゃ…ヒィィィ!」
冗談だと思った山崎はオッサンのサングラスを取った瞬間、十八番と言える悲鳴を上げて俺の後ろに隠れた。
「お前ら、誰に向かって口をきいてやがるんだ?あ"ぁ~?」
「すみません!すみません!すみません!…」
「うるせぇ!…それで?あんたはそんな格好して何してんだよ。」
「後でたっぷり教えてやるよ。」