「なぁ、市原。あの時、何でいきなり殴ってきたんだ?」
「お前が一人で勝手に突っ走ってたからだ。」
「どういう意味だよ。」
「ハルのクラスに宮元って言う委員長いるだろ。あいつが喧嘩の原因を教えてくれたんだ。ハルに言われたんだろ?『お前らと連むよりアッチ系(オタク系)と連んでる方が楽しい』って。んじゃほっとけばいいのに一人で暴れやがって。」
「許せなかったんだよ!僕はどう言われてもいい。でも、あいつはお前を“不良品”だと言ったんだ!」
「不良品でもいいじゃねぇか。俺らみたいな落ちこぼれがいるから上質な奴らが目立つんだから。言わば、不良品=引き立て役って事なんだよ。」
山崎にはそう言ったが、内心では腹立たしく思った。
不良品な人間なんていやしねぇ。
誰でも何かしら良い部分を兼ね備えてるもんだ。
人を不良品呼ばわりは気に食わないが。

それから俺らは昼休みまで授業をサボり、5・6時間目だけ出席した。

喧嘩をした後っていうのはいつも以上に仲良くなるもんだと実感した。