進路指導室前へ来た時、中から山崎の声が聞こえた。
「山崎ぃ!」
抑えきれない怒りを拳に変えて山崎をぶん殴った。
「何すんだよ!」
「お前、一人で何でも抱え込もうとするなっ!」
「何の話だよ。」
「とぼけるな!こっちを見ろ!」
二人の視線がぶつかり合い、険悪なムードが室内を包み込む。
「何だよ…やるのか?」
「そのつもりで来たんだ。」
力強く拳を握り、歯をくいしばる。
その時、俺らのやり取りを一部始終見てた大橋のじいさんが間に入った。
「喧嘩がしたいなら止めはせんが、今じゃなくても良いじゃろう。放課後はどうじゃ?邪魔が入らん方がよくないか?若い内にいろいろ経験しとけよ。だけどな、後悔だけはするんじゃないぞ。」
後悔?何のことか分からない。
だが、邪魔が入るのだけは避けたかった。