昼休みまで残り30分になった時、隣のクラスが突然騒ぎ出した。
机に寝そべって耳をすませてると、激しく言い争う声が聞こえる。
「お前にあいつの何が分かるってんだよっ!」
「…分かる。お前みたいな奴には分からないだろうが。」
「そういう態度が気にくわねぇんだよ!クソッ!」
声で山崎とハルだと分かった。
それは俺だけじゃなく、クラスの奴らも分かったらしい。
「おい、市原。山崎がもめてるぞ。止めてこいよ。」
普段は話しかけてもこないただのクラスメートがこういう時だけ話しかけてくる。
「あぁ?んじゃお前が行けばいいじゃねぇか。」
睨みをきかせるとすぐに黙り込むのが気にくわねぇ。
不良の相手は不良がやれってか。
調子に乗ったクソ共は一斉にこっちを見てきた。
「見てんじゃねぇぞ!コラァァァ!」
こんなアホばかりがひしめき合ってる部屋に居るより外で寒さと戦う方がマシだ。
俺は机を蹴飛ばし、教室を出て行った。
止めようとする絵里香の手を振り切って。