「ちょっとは落ち着いたか?」
「あぁ。でも、あいつだけは絶対に許さない。」
こいつがここまで怒る事は滅多にない。
滅多っていうか見たことがない。
蹴られてもパシらされても怒らないのに。
「そろそろ理由を聞かせてくれてもいいんじゃねぇか?」
「分かってる。ただ、あいつをボコボコにしてからだ。」
もう、何を聞いてもダメみたいだ。
「んじゃ、ボコボコにしたらでいいや。とりあえず教室に戻るか。絵里香の蹴りが飛んでこない内に。」
「いや、僕はもう少しここに居るよ。」
「はいよ。それなら昼休みに起こしてくれ。」
山崎を残し、教室に戻った。

それからあいつは教室に帰ってこなかった。
言い忘れていたが、俺と山崎はまた同じクラス。
クラスを別にすると目を光らせるのに困るらしい。
そんな理由ならきっと3年も同じクラスだろうな。
そして、俺らを監視する補佐役として絵里香が抜擢されたという訳だ。
エスケープに失敗したらタダじゃ済まない。
それでも俺らはやってやるんだ。