「ねぇねぇ、僕と大金掘りに行かな～い？それから楽しく旅行でも行こうよ～。」
「す、すみません。今、仕事中なので…。」
呆れたものだ。
友達が気を失ってるっていうのに呑気にナンパなんかしやがって。
「オイッ！コウっ！ちょっと来い。」
「すみません、お客さん。大声出すの止めてもらえますか？」
「あぁ、すまない。」
この店からすれば厄介な客だよな…俺達は。
「なんだよ～、せっかく落とせそうだったのにぃ。」
「お前は大金を取られてもいいのか？」
「えっ！？」
コウは単純だ。
俺が小声で話すとつられて小声で話返す。
「よく見てみろ。俺達が座ってた座席の左側の席の奴。こっちを見てるだろ？あいつは俺達の大金を奪おうとするヤクザだ。」
「マジっすか！ヤバい！早く逃げないとっ！」
「待て待て！こっちが悟ったとバレたら消されっちまう。ただのジョークだって思わせれるようにさっきの子に謝ってこい。」
「うん、分かった。貸しが出来たな。」
「気にするな、友達だろ？帰りに飯おごってくれればそれでいい。」
「分かった、ありがとう。んじゃ謝ってくるよ。」