そんなに深い関係じゃなかったし、ストーカー行為で迷惑してたはずなのに寂しさを感じた。
恋をしてた訳じゃないが、知り合ってお互いを理解しだした頃だったからそう感じたんだろう。
ガラスの向こうで雪が俺の悲しみを増幅していく。

深夜2時。
不気味さを忘れ、とぼとぼと歩いて家へ向かう。
その間、走馬灯のように聡美と共有した時間が脳内を駆け巡り、降りそそぐ雪によって身も心も冷えていった。

家に着き、聡美の表情を思い出してた。
何度も何度も思い出し、ある事に気がついた。
それは、消える前に『もう、一人じゃない。』と言った事。
声は聞こえなかったが、口の動きで分かった。
そして、その言葉と無邪気な笑顔を残して消えた。
なぜ、俺が孤独に苦しんだ事を知ってたんだろう。
あいつは何者で何をしに俺の前へ現れたんだろう。
たくさんの疑問が浮上するが、考えても真相は闇の中。
解決法は無いけれど、俺は聡美の事を忘れないし、聡美も俺の事を忘れないで居てくれる。
それだけは明白と言えるだろう。