「ねぇ、最後にもう一つ…私の事…好きになってくれた?」
「いや、嫌いだ。」
「そう……答えてくれてありがとう。今、何時?」
「0時51分。早く説明しろよ。」
「もうそんな時間…真也、何もしないから目をつむって?早くっ!」
本気でせかす意味が分からないまま目をつむった。
こいつは俺の頬に口づけをするとイスに上がって涙を流し始めた。
「なっ!何しやが…る……って、おい……」
俺の目の前にはイスの上で涙を流し、半透明になってるあいつの姿があった。
訳が分からない。
当然、理由も聞かされてない。
あいつは懸命に口を動かしてるが、その声をひろう事が出来なかった。
「どうなってるんだ?なぁ、教えてくれよ…。」
体から蛍火ぐらいの光が蒸発するかの如く空へと舞い上がり、短時間で消えてしまった。
「ハハ…冗談だろ?俺が幽霊を信じないって言ったから怖がらせようとしてるんだよなぁ?降参するから出てきてくれ。なぁ…出てきてくれよ!聡美ぃぃ!」
最初で最後だ。
あいつの名前を呼んだのは。