町の片隅で~ファーストストーリー~

「俺は幽霊やUFOなど信じない。たとえ、自分の目で見たって信じない。」
「…今は何時?」
「今?えっと…あれ?」
腕時計の秒針が0時52分から先へ進もうとせず、カチッカチッと音を立てながら短針の上で震えてた。
「ちょっと待てよ。」
そう言ってズボンのポケットから携帯電話を取り出し、時間をみた。
「今は0時40分だ…何でこっちのは早くなってんだろ?さっきまで合ってたのに。」
「フフっ…そろそろいいかな。」
「ん?何が。」
もう、慣れてた。
一日で何回話が噛み合わなかった事か。
怒鳴ったりもしたが、『元気だね。』と言って流される。
その内、俺は悟ったんだ。
無駄な体力を使わない方が利口だってな。
「おい、もう話してくれてもいいんじゃねぇか?」
「そうだね。その前に一つ聞きたい事があるんだけど正直に真剣に答えてくれる?」
こんな真っ直ぐな目をされたのは初めてだ。
「分かった。約束する。」
「真也は今日一日私とデートして楽しかった?」
「あぁ。楽しかった。最初はアホらしいかったけどな。」
この無邪気な笑顔だけは最高と言えるだろうな。