みんなが寝静まった深夜。
俺は体の異変に気づき、布団を抜けだした。
「小便してぇ。」
廊下をぼんやり照らす非常灯がやけに不気味だ。
二階にある大草原の便所で用をたし、出ようとしたが、ドアが開かない。
「えっ?嘘だろ?オイっ!」
いくら押してもびくともしない。
原因が分からない上、閉じ込められる意味も分からない。
どうする事も出来ないからドアにもたれて開くのを待った。
大自然の中でぼ~っとするのも悪くない。
わずか数秒でウトウトし始める。
だが、ウトウト出来たのも束の間に過ぎなかった。
「うわっ!痛てっ!」
いきなりドアが開いた為、後頭部を中途半端に開いたドアの角で強打。
「そうか、引けば良かったんだ…ん?何をやっている?入れないから早く退いてくれないか?」
「はいよ。」
「うわっ!」
「ん?どうした?」
「ここ…トイレじゃないのか?」
「便器があんだろ。いちいち騒ぐなよな。んじゃ。」
「待てっ!いや…待ってくれ。」
「今度は何だよ。」
「その~、終わるまで前に居てくれないか?」
「はぁ!?俺に小便の音聞けってか!」