「完成です。」
「お前って普段はトロいのに料理になると手際がよくて完璧だな。」
何人分あるか分からないほどのデカいケーキを作り、得意の紅茶でもてなしてくれた。
その後、5分と経たない内に紗耶香と正常に戻った山崎が帰宅。
買ってきたモールやレース状のリボンなどを飾り付け、リビングと玄関ホールを派手に演出した。
それを見計らったように次々と来訪客が集まり始める。
静香と紗耶香はキッチンで食事の用意を始めた。
「俺達は何をしたらいいんだ?」
「浩平はお客さんの数を数えてきて?真也はお客さんの名簿を作って。」
「はいよ。」
紗耶香に聞こえない所で山崎に疑問をぶつけてみた。
「おい、いつから下の名前で呼ばれるようになったんだ?」
「それがさ~、名前聞かれたから答えたら『浩平ね、分かった。』って言ってそっからずっと呼び捨て。」
あいつらしいやり方だ。