飯を食い終わると、一休みをほどほどに紗耶香のクラスへ。
「殴り込みじゃ~い!」
ドアを開けるやいなや大声で古いヤクザ映画の台詞をはいた。
教室で昼食をとる奴らは珍しい動物を見るかのような目でコウを凝視する。
10数人が一斉にコウを見たのは面白かったが、発展が無さ過ぎだ。
だからコウに耳打ちをした。
「おい、コウ。お前の格好良さにみんな引いてしまってるぞ。ここは阿波踊りであいつらの心を鷲掴めよ。」
「僕の踊りでメロメロさ。あそ~れ!ほっ!よっ!ほっ!そらっ!」
単純さは天才的だ。
教室に居る奴の箸は止まり、奇怪な踊り子から目を逸らす者は誰も居なかった。
きっと目を逸らしたら自分にからんでくると思ったんだろう。
俺が廊下で爆笑してた時、背後に嫌な気配がした。
「真也~、私のクラスで何してんの?」
「こんにちは、市原さん。お姉ちゃんに用ですか?」
愛嬌のあるシマリスを連れたマウンテンゴリラが姿を現した。
その間、何も知らないエテ公(猿の別称)は笑顔で踊り続けてた。