停学一日目。
今日は三人で近くの廃校に行く予定。
何でゴリラ一匹扱えない飼育係に『黙って家にいろ!』なんて言われなきゃなんねぇんだ。
飼い慣らせなかったゴリラを大人しくさせてやったのに。

「遅いぞ。シン。」
「あぁ、悪りぃ悪りぃ。あれ?ハルは?」
「そういえば、どっか行っちゃったな~。」
人混みの中からハルを見つけるのは難しい。
気ままな猫のような奴で、居なくなったと思ったらいつの間にか横にいたりする。
「まぁ、その内帰ってくるだろ。行こうぜ。」
俺らはハルを信じて廃校を目指した。
何で廃校に向かうかと言うと、18時間前にさかのぼる。


「何で俺達が停学処分を受けなくちゃなんねぇんだ!」
「…受け入れろ。」
「まぁまぁ、せっかく友達になれたんだから停学中に絆を深めようじゃないか。」
「お前は気楽で良いよなぁ。バカになりたい。」
「サラリと暴言吐くの止めてくんない!!」
「…落ち着け。馬。」
「誰が馬だよっ!せめて‘鹿’も付けてよ!」
「んじゃ、俺は帰るゎ。」
「話は終わってなーい!」
ダラダラとコントまがいの話は続き、まともに話し合いをしたのは午後4時になってからだった。