町の片隅で~ファーストストーリー~

紗耶香の声の後、緩い口調で喋る若々しい声が聞こえてきた。
その後すぐに聞き覚えのある声がする。
「ほぇ~!立派な家よのぉ~。」
間違いない!
婆ちゃんだ。
雑談を楽しみながらリビングへ入ってき、俺を見るやいなや手で両目を覆う。
「あっちゃまぁ~。ウチの孫がな~んでキョンさん家に居るんだぁ~?」
「ババア、キョンの家じゃない。俺の家だ。」
何が気に入らなかったのか理解不能だ。
「俺とここの娘達は友達なんだ。それで、ちょっとお茶しないかと誘われたから来たんだよ。てか、そっちの人は?」
優しそうな笑顔を振りまくこの人がオッサンの妻だ。
「初めまして。この子達の母親です。あなたも馴れ馴れしくキョンと呼んで下さい。」
何かの警告なのだろうか?
それとも友達のように接して欲しいという気持ちの表れなのだろうか?
「馴れ馴れしいのは嫌いだからキョンさんと呼ばせてもらうよ。」
この家族は何なんだ。
一人ひとり、キャラが濃すぎる。
婆ちゃんも含めて。
俺はあと何時間この中で生き延びればいいんだろう。