「静香、お前だけは俺の事を分かってくれてると思ってた。寝言で俺を愛してると言ってたのは嘘なのか!胸が痛いぞ、静香。」
「そんな…私、どうしたら…。」
「嘘よ!騙されないで!あいつはあんたの同情をかって食うつもりなのよ!」
「チッ。バレたか。こうなったら奥の手だっ!…ウオッ!」
両手を広げて近づいた俺の頬に静香の持ってたオタマの丸い部分がピチンッとヒットし、俺の燃え盛る心の炎を一瞬にして消し去った。
「し、真也、大丈夫?もの凄い音したわよ?」
「市原さん、ごめんなさい!怖くなってつい…」
「‘つい’の続きは何だ。ついうっかりオタマのケツでホームランを狙ったとかか?お前に殴られるとマジでヘコむわ。立ち直る為に帰らせてもらう…ブッハー!」
「何、どさくさに紛れて帰ろうとしてんのよ!親が帰ってくるまで居なさいよ!用心棒でしょ!」
殴り飛ばされる用心棒を必要とする訳を知りたい。
変な便所に迷い込んだと思えばしょうもないイリュージョンを見せつけられたり、風呂で溺れさせられ、やっと寝れたと思えば叩き起こされる。
しまいにはシリアスな夢までみせられた。
用心棒って言うよりただのオモチャに過ぎなかった。