あの時はもっとかまって欲しかったんだ。
悪い事したら叱ってくれて良い事したら誉めてくれる。
そんな単純な事すら出来ない親なんて必要ないと思ってた。
でも、時間を経て見てみると、親の大切さを実感できる。
行き過ぎた行動もあったし、ほったらかしにされた時間も長かった。
でも、あんな俺をここまで育ててくれた事を嬉しく思う。
俺は食卓で肩を落とす親父へ近づいた。
「由香理…やっぱりお前の言うとおりだ…私も真也に伝えられなかった。あんな落ちこぼれのバカな息子でも泣く姿は見たくない。辛い想いをさせるのはもういいだろ。教えない方が酷かもしれないが、自分から知ろうとするまでやりたいようにやらせてやりたい。」
涙ながらに語る親父が一番辛かったんだろう。
「ありがとう…親父…」
そう思った瞬間、無意識のうちに涙がこぼれ落ちた。
「真実の涙み～つけた！」
女の子の声が響き、再び光の中を移動する。
その間、俺の知らない出来事が走馬灯のように映し出された。
喪服(もふく)姿の親父が高校の校長に土下座をする所、時々、婆ちゃん家から通学する俺を見に来てた所など。
俺は親の愛情を初めて知った。