「ライフ…ゲーム…?銀色の玉なんて…、あ…!」


玉なんて持ってないさと、携帯をポケットに入れようとすればポケットの底で携帯の侵入を何かが拒んだ。
蓮は鍵か何かと思いつつ中に入った物を全て掴み、掌を開いた。

──…白銀に煌めく玉が三つ。

「銀色の玉…、いつ入って…!!」

蓮の言葉は後ろを振り向き、自ら来た道を見ながら、苦虫を潰した様に、表情を歪めた。


あの女性がふざけた茶番を仕組んだ犯人なら、捕まえておけば良かった…。
もし、あの時に何かしら呼び止めていたなら…。


今更どうにもならない考えを起こしながら、取り敢えず携帯を逆のポケットにしまい職員室の扉を開いた。


「…はぁ…はぁ…。」


「…!!」


職員室の中では力持ちで有名な杉村(スギムラ)という体育教師が息を荒く吐き、その視線の先には、杉村と犬猿の仲と言われる程、有名だった化学の教師が倒れていた。
何か強い精神的な衝撃を受けたのか、化学教師は白眼を剥き、口はだらしなく半開きになっていた。


「…杉村…先生…?」


「…!!」


蓮の口から洩れた言葉に杉村は驚き肩を揺らせば、振り向くと同時に目を見開いた。
握られた拳の隙間から、白銀に煌めく玉が僅かに見える。


その煌めきに俺は全てを悟った。



──…LIFEGAMEの始まりを…。