「どうだ、最近」 「何がです?」 「何がって、 決まっているだろう。 彼女はできたのか?」 「そっちの方は全く」 そう言うと、親父は少し渋い顔した。 「あれから結構経つじゃないか。 気になる人くらいはいるんだろ?」 「残念ながら、それも全く」 「気になる人もいないのか? そろそろ結婚しても いい歳じゃないか。 早く家庭を築いてもらわなくては困る」 「…はい、わかっているんですが…」 そんなことはわかっている。