「せ、センパイっ……」 唇の端からタラリと垂れる血をゲンコツで拭きながら、紫苑さんが立ち上がろうとする。 「て前ぇなんかにセンパイなんて呼ばれたくねぇッ!」 そう言って、紫苑さんの胸倉をつかんで、さらに怒りの鉄拳を叩き込むおにーちゃん。 「よくもっ……よくも、よくもっ!」 「お、おにーちゃん、やめてっ!」 おにーちゃんの背中にしがみついて、殴るのを必死でやめさせようとするあたし。 「お前、好きな男に裏切られて悔しくねぇのかっ?」 好きな男!?