【短編】366日




「………美香元気なん?」

美香は私のお姉ちゃんの名前。

そりゃあ気になるよね。

好きなんだもん。

「知らない。

最近あってないし。」

と、私は気持ちを紛らわすために

携帯をひらいた。

「そうやな。

って、はよ勉強しろや!」

「へいへい。」


本当に知らなかったけど、

しってても言うわけないよ。

だって、2人っきりの時間を

壊したくないから……。

だけど、この話を持ち出したのは

私なのにね。

だって、知りたい。

彼の今、美香に対する気持ちを。

好きだから。


「楓、もうそろそろ帰る。

お腹すいたし。

勉強2時間もやったら頭破裂する。」


掛けていた眼鏡を取って、

彼は窓を開けた。

「はいどーぞ。

どーせこっから帰るんだろ?」

「うん。」

私の部屋と、彼の部屋は、

わずか30センチぐらい。

いつも楓の部屋の窓から

私の部屋の窓までダイブする。

「おちんなよ。

あ、狭いからおちねーか。」

と笑ってる彼。

「どういう意味よ。」

本当にむかつく。


「じゃーな美紀。」

今日初めて名前をよんでくれた。