【短編】366日




『いや、別に用とかは無いねんけど

アホも風邪引くんやなぁ』

『こっちは死ぬほどしんどいのに

笑わないでよ。看病でもしてくれるの?』


せっかく喜んだのに茶化しで電話してくるなら

いっそ切ってやろうかと思った


そんなことするわけ100%無いけど

『じゃあ帰り部屋よったるわ』

そんなこといわれたら…

『いいよ別に。

受験生に風邪移したらだめだし』
ほら、また素直になれない


――優しくしないでよ

調子に乗るから…。


『―あ、そう。

じゃあいかへんわ』

といって電話を切った楓。

完璧に彼を怒らせた。

耳の向こうに淋しすぎる機械音

まるで私の心が泣いているようだった