『いや、別に用とかは無いねんけど
アホも風邪引くんやなぁ』
『こっちは死ぬほどしんどいのに
笑わないでよ。看病でもしてくれるの?』
せっかく喜んだのに茶化しで電話してくるなら
いっそ切ってやろうかと思った
そんなことするわけ100%無いけど
『じゃあ帰り部屋よったるわ』
そんなこといわれたら…
『いいよ別に。
受験生に風邪移したらだめだし』
ほら、また素直になれない
――優しくしないでよ
調子に乗るから…。
『―あ、そう。
じゃあいかへんわ』
といって電話を切った楓。
完璧に彼を怒らせた。
耳の向こうに淋しすぎる機械音
まるで私の心が泣いているようだった

