「そっか……。
俺いけると思ったのに。
はははっ。
じゃあ、悪いなこんな夜に。」
「ううん。」
「じゃあ、そいつと幸せになれよ。」
「うん、ありがとう。じゃあ」
直哉の目には少し涙がたまっていた。
見間違えかもしれないけど。
直哉、私を好きになってくれてありがとう。
これからもいい友達でいようね
私は直哉と別れてから、家に戻った。
部屋にはまだ勉強する楓の姿。
「お、帰って来たんか。」
「うん」
「なんかあったか?」
「ううん…。なんにも。」
「そっか。」
楓、
私、直哉に告白されて、
もっとあなたのことが好きになったよ。
隣で勉強している楓に私は
……抱きつきそうになった。
触れたい。
抱きついて、キスして、
それ以上のことも、楓としたい。
ねぇ、楓は私なんか眼中にないの?
楓、私だけを見ていてよ…。
「楓……。」
「なんや?」
「ううん。」
…―――好き。
たった二文字のこれだけの言葉も
伝えられなくて、臆病で、
楓を思うとこんなにも胸が苦しくて
こんなことなら、楓を
好きにならなかったらよかったのに。

