【短編】366日




――佐々木直哉

メアドを教えてからというもの

こいつからメールが毎日来た。

【今日、暑かったね〜】

【今何してるの〜?】

用件は超どうでもいいことばっか。

そんなくだらないことで受信料

はこっちが払ってんのに、

どうしてくれるのよ佐々木直哉。

でもあんたのメールでため息は

引っ込んでいった。


【俺、今日電車のドアに2回も

はさまれたっ!】

「ぷっ。」

時々おもしろい話もしてくれて

最近悩んでたことも、こいつのおかげで

少しずつだけど、消えていった。


「美紀、電子辞書かして?」

「はい。」

私が行かない代わりに楓は私の部屋に

毎日勉強を教えに来た。

♪〜♪〜♪〜

【今、美紀んちの近くのコンビニ

来てんだけど、美紀これない?】

今日もあいつからのメール。

「どしたん?」

「ううん、友達。

ちょっと行ってくるね。」

「いってら。」

上着を着て、佐々木直哉に返事して、

私は部屋を出た。


――5分後

「直哉」

「お、美紀。」

直哉は上下スエットで、

コンビニ前で座っていた。

「どうしたの?急に。」

「俺な、美紀に言いたいことあって。」