【短編】366日




明日は、姉が帰る日。


あの日から私は楓の家に行ってない

ていうかあんなことがあって

行けるわけがない。


…―コンコン

窓からの彼のノック。

「なに。」

「俺やけど、楓。」

わかってるよ。

「何?」

「勉強しんくてもいいん?」

「してるよ。今」

「ふーん。じゃあ俺は用済みか?」


不機嫌になる彼を見た私は、
どうすることもできなかった。

「そう、だいいち

年頃の乙女が男の部屋に

入るなんておかしいの。」

これが今できる精一杯の嘘。

「は?何なんいまさら。

俺たちがそんな関係に

なるわけないやんけ。」

といって笑いだした彼。

――そんな関係。

じゃあ今はどんな関係なの?

友達関係?

ただの幼なじみな関係?

家族みたいな関係?

じゃあ私は女としてみられてないんだね

なんで?

美香は女として見てるのに

なんで私はそういうふうに

見てくれないの?

楓が好きなのは私だけなの?

たとえ1パーセントの確率だけでも

私はただの幼なじみなの?

「そっか……。

そうだよね。じゃあ私、

お風呂入ってくるね。

じゃあ…また明日。」