Ｂe ｉｍｐａｔｉｅｎｔ

迷惑なんだったら、はっきりそう言ってくれれば良いのに。

私に気を使っているのだろうか、ヤナギさんは「ごめん。」と言い立ち去ろうとする私を引き留める。

ヤナギさんは机の上に置いてあるティッシュを２枚取ると、私の頬を濡らす涙を少し乱暴に拭った。

「ちょっと意地悪し過ぎた。」

そしてティッシュを私の掌に握らせる。

私がまだ少し湿気ている頬をティッシュで拭くと、ヤナギさんはふんわりと微笑む。

それからなぜか自分の机の上と私の机の上の両方を片付け始めた。

最後にパソコンの電源を落とすと「そろそろ帰ろうか。」私に鞄を渡しながら言った。

「えっ？」

自分の鞄を受け取った私は言われるままにヤナギさんの後を付いて部屋を出るが、仕事はまだ片付いていなかった。

「ヤ、ヤナギさん？まだ仕事が残ってるんですけど。」

足早に進んで行くヤナギさんを引き止めようとする。

それでも足を止めないヤナギさんの袖口を私は引っ張った。