Be impatient

「勘がよくて、いろんな事に気付く人もいると思うけど、そうじゃない人もいるから。ちゃんと言葉にしないと伝わらないんじゃない?」

でも、ヤナギさんは勘の良い人ですよね?

そう問いたかったが、そんな事言ったって上手くはぐらかされてしまうのは分かっていた。

だけど、黙りこくる私に向けられる眼差しは優しかった。

「…私は……」

ヤナギさんの持つ雰囲気は優しくて、心地よい。

これ以上本当の事を言わないなんて、不可能に近かった。

今の私にピッタリな言葉は、思考能力ゼロ。

頭と口は連結されておらず、ただ勝手に口が動き言葉を発する。

「どうにかしてください。」

ヤナギさんは何も言わずに、私の言葉に耳を傾ける。

「仕事が手につきません。」