Be impatient

「仕事中ぼんやりしてしまうぐらい、その人の事が気になるんだ?」

私が仕事中にぼやりとヤナギさんの事を考えていたのなんて、お見通しのようだった。

「すみません…」

私は項垂れたまま、涙の粒が零れ落ちるのを必死で我慢した。

「相手の人は知ってるの?ハラダさんの想いに。」

知っていたらビックリだが、そんな事ヤナギさんが気付いているわけがない。

「いえ、その人は知りません。」

私はただヤナギさんの問いかけに答えるしか出来なかった。

「伝えないの?」

「無理です…」

「どうして?」

「……怖いから…」

「怖がってたら、前に進めないんじゃないの?」