Be impatient

「どうかした?」

「えっ……?」

ヤナギさんの問いかけの所為なのか、顔を覗き込まれた所為なのか。

分からないが私の顔は熱を持つ。

そればボンっと音がしそうなぐらい、急激に熱くなった。

どうにかこの場を抜け切る為に「何もないですよ。」そう口を開きかけたが、言葉にする事は出来なかった。

ヤナギさんの手がすっと伸びて来て、私の体は強張る。

「髪、引っ付いてるよ。」

そう言って、私の顔に掛かる髪をそっと後ろに流す。

いつもキーボードを打っているヤナギさんの指が私の頬を掠め。

その触れるか触れないかの指に、私の心は激しく動揺する。

これ以上口を開く事なんて、出来なかった。

何が起こったのか理解するのさえ難しく。

分かるのはただ、私の心臓が壊れそうなぐらい煩いって事だけ。