◆コンビニ恋愛◆





そこはこのそばにある衣料品店の倉庫らしき場所だった。

今のところ誰もいない。





「橘〜はやくここ出…」

「しっ!人おる」



橘はそう言うとあたしの口をおさえた。






橘の手…







前から思ってたんやけど、橘の手って細くて長い、きれいな手。



「オイ!何しとんねん」



はっと気付くと、橘の手に手をのばしているあたしがいた。




恥ずかし!






「及川、隠れろ」


突然低い声でそう言われたあたしは、とっさにしゃがみこみ、大きなゴミ箱の後ろに隠れた。



「なんかさ、映画っぽくない!?(笑)」


店員さんらしき人の足音と共に、小さな声で橘は言った。



「そうやけど…ある意味犯罪に手を染めてる気がしてならんわ…」

あたしも答える。



「オーゲサ(笑)。まあ勝手に人の土地入ってるしなあ。ま、早よ抜けよ」




するとカラン、と音がする。




「わっ」



足元に転がっていた、空の缶ジュースが音を立てた。




「誰や」



男の店員さんは、ゴミ箱へ近付いてくる。






やばいやばいやばいやばい…!!!







すると店員さんの足音が止まった。



バレた…?







「なんや。缶ジュースやん。あの新入りめ、ちゃんと叱らなあかんな」


そう言うとドアが閉まる音がして、
辺りはシーンと静まり返って。







「「助かった…」」