「あはは、少し驚きましたね(笑)。では最後に。これが初監督作品となる、監督日川真理子さんから一言」
しゅんと小さくなっていたあたしに、って訳じゃないけど、
若くてきれいな監督さんはこう言った。
「好きという気持ちは、なかなか相手に伝えられないものです。ですが今、言わないと、伝えておかないと相手はいつ何処へ行ってしまうのかもわかりません。
だから、だから皆さんも。
この映画の二人のように、好きという気持ちを素直に受け止め、素直に伝えてほしいと思ってます」
「ありがとうございました」
そんな声が聞こえて、あたしは胸が張り裂けそう、っていうより裂けていた。
隣で橘が座ってる。
そのことを妙に意識してしまったあたしは、なんだか心臓が痛くて、
ずっと脈をうっていた。



