「では、彼方さん、挨拶をお願いします」
気付くと皆の興奮は少し収まってて、
真剣に彼方直人の顔を見ていた。
「今日は映画『ジュピター〜きみといた夏〜』へおこしいただいてありがとうございます。これはただの恋愛映画じゃないんです。実話の、それもたったの16歳たちの恋の物語です」
「16歳…」
「俺らと変わらんな」
「うん…」
「高校生ってなんか付き合ってって言われたから軽く付き合うみたいなのもあるじゃないっすか、だけど、この二人は本当に愛し合っていたってわかるんです。平原さん演じるマキの…闘病のことも含めて」
すると彼方直人は、隣にいたヒロインの人にマイクを渡した。
「平原愛美です。彼方さんの言う通り、本当にこの作品は他の作品以上に二人はつながってて…逆に言うと、正直演技するのが難しくて、あたしに出来るかなって」
「……橘。」
「なんや」
あたし、やばいかも。
「こんな舞台挨拶だけで泣ける映画初めてやわ…(泣)」



