僕は久我さんの車に乗った

助手席ではなく、後部座席に座った

「なんや…後ろかいな」

「すみません
ちょっと…」

今は誰とも話したくない

愛想良く振舞える自信がないよ

一人で……一人がいい

殻に閉じこもって、何も考えたくない

「愛子ちゃんには内緒にしたるわ」

僕は体がびくっとなった

「やめてください
その名前…聞きたくない」

「そうやろな
でも、現実はそうはいかんやろ?
きちんとしいや
男やろ」

久我さんも厳しいな

兄さんと友達なだけある

わかってるけど