結局私は彼の胸で長い間泣いてしまった。
その間、彼は一言もしゃべらなかった。
ベットに座らせてくれて、ただただ優しく背中に手を置いていてくれた。
彼の手から伝わる温度で少しずつ元気を取り戻せた。
泣きやんだのに彼はなかなか手を離さない。
本当はもうちょっと触れていてほしかったけど、なんとなく気まずくなる。
「…も、大丈夫です。」
「あっ、そうか。」
パッと手を離し私から目をそらす。
「あのッ!」
彼に向き直ってジッと目をみる。
「なんだよ。」
相変わらず目をそらしたままあわせてくれない。
目をふせて震える手でベットのシーツを掴んだ。
「…どうするんですか。」
「…は?」
「私のこと、どうするんですか?」
「…あぁ、特に考えてない。」
「…えっ?」
「…特に考えてないから。どうしてほしいか自分で考えろ。」
適当だなぁ…。
拾っておいてこの扱い…。
私どうすれば…。
「あッ!とりあえず、外にでてもいいですか?」
「…はぁ?」
「だからぁ、外に…「死ぬぞ。」
「えっ?」
「悪魔なめるなよ、殺されたいのか。」
射るような冷たい視線で体が固まった。
「…ハイ。」
私に外にでるという手段はないらしかった。