「じゃあ3択な。
1、小学、中学、高校、大学とか思い出をぐるーっと回る。

2は、いつも通り部屋でのんびりしてから買い物に行く。

3は…ん〜、あ、桜子さん、百合華たちに会いにいく。

どれがいい?」



桜子とは、私の母で幸宏さんのお義母様。


私が迷ったときは大体、こんな風に何択か出して、私に選ばせてくれる。


もちろん嬉しい。

私のことは知ってるよ、と言われてるみたいで、些細なことなのに胸はときめくことを忘れない。



でもー…そのほとんどに、『お母様に会いにいく。』っていうのが入ってる。


本当に会いたいのは、お母様たちとあの広い家で、夫と一緒に住んでいる百合華さんーーお姉様のくせにね。



もちろん私はそんなこと言えない。


「えっと、じゃあ2、でいいですか…?」


あなたが3に行きたいのは知っていてもそれを選ばないのは、私のせめてもの意地。



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