1階にはまだ誰も居ないようだった。

私は洗面所へ行き、冷たい水で顔を洗った。


タオルを冷やしてから、リビングに戻った私は
テレビをつけ少しの間ボーッとしていた。

奥の方で音がしたので、急いで目からタオルを外した。


「おはよう。早いね」
奥から出てきたのは啓太さんだった。

「おはようございます。今日はお仕事ですか?」
「あぁ。ちょっと遅めで良いんだけど、いつもの時間に目が覚めてしまって…」

「朝食作るので、それまでゆっくりしていて下さい」
「作ってくれるのかい!?ありがとう」
啓太さんが笑顔で言ってくれた。
「啓太さんと…絋希さんって嫌いな物ありますか?」
「絋希は甘い物がダメなくらいかな」
「わかりました。4人分一緒に作ってもいいですか?」
「あぁ。絋希もそろそろ起きてくるし大丈夫だよ。…絋希の弁当も作ってやってくれないかな?」
「絋希さんはいつも早くに出られるんですか?」
「部活があるからね」
「そうなんですか。お口に合うかわからないのですが、頑張りますね」
「頑張ってね」

私は腕捲りをしながら台所に向かった。