さっきの人は紙袋を持って、店員さんはホウキとちり取りを持って、こちらに向かってきた。
店員さんは二人いて1人は偉い人のようだった。
「お客様。お怪我はございませんか??」
偉い人の方が私に尋ねた。
「私は大丈夫です。こちらこそ、すみません」
「いえ。お二人ともお怪我がなくて何よりです。」
片付けてをしていた店員さんもこちらを向いて笑った。
優しい人達で本当に良かったぁ。怒られるかと思った。
あっ。お礼言わなきゃ。
「あの。わざわざありがとうございます」
あの人は一瞬驚いた顔をした。
「こちらこそすみませんでした。お詫びにこれ受け取ってくれると有難いのですが…」
その人は困った様な顔をして袋を差し出していた。
「え!!!い、いいですよ。私お金払ってないですし…」
「僕がぶつかったせいで割れたんですし。お怪我をさせていたかもしれませんから…」
「…でもこんなに高価な物いいんですか!?」
「もちろんですよ。受け取って下さい」
わぁ…。こんなに綺麗に笑う男の人初めて見たかも。
あっ。
私は慌てて紙袋を受け取った。


