運命の人はお義兄様



動き出した車の中で、私の心臓は落ち着きを無くしていた。

プリンスホテルに着いてからの私の心臓は更にすごいことになっていた…。

「静夏。そんなに緊張しなくていいのよ」
「う、うん」

私たちの乗ったエレベーターはすぐにレストランに着いてしまった。
お母さんが名前を言うとお店の人に案内された。


そこには1人の男性がもう座っていた。

「あっ。啓太さん」

お母さんはその人に向かって小さく手を振った。
その人はお母さんの声に反応して、立ち上がった。

「優さん早かったですね」
「お待たせしてごめんなさい。あっ。こちら平沢 啓太(ヒラサワ ケイタ)さん」

「は、初めまして、静夏です。よろしくお願いします」
「ハハッ。そんなに緊張しなくていいよ。こちらこそよろしくね。静夏ちゃん」

「そういう啓太さんだって緊張してるでしょ」
「アハハ。バレちゃった?実はね…。さ、2人とも座って」

私たちは啓太さんの向かい側に座った。