私が一歩踏み出そうと、足を上げたとき 「瀬野さん…。あなた確か隼人さんとお知り合いよね?」 「はい。そうですが…」 「絋希さんと面識は…?」 私は唾を飲んだ。 何と答えればよいか悩んだ。 「…編入の時にお会いして、後はさっき控え室で顔を会わせたくらいです」 絋希さんが私の事を秘密にしたいのなら、私は黙っていようと思った。 「そう…。ならいいわ」 そう言うと天草さんは歩き出した。 絋希さんに秘密にされてショックだったんだと思う。 天草さんは複雑な顔をしていた。