「この大会は、1次審査に残った人が絋希様と演奏する事ができるのよ」
絋希さんと…!?
「まぁ毎年麗お姉様しか通過出来ないのよね」
「私達でも1次通過する事は難しいのに、あなたじゃ無理よ」
「万が一、あなたが1次通過しても麗お姉様には勝てないわ」
「麗お姉様と絋希様はもう何度も一緒に演奏しているし、学校でも有名な美男美女のカップルなんですもの」
え……。
絋希さんが………。
「確かに何度もご一緒に演奏しているけれど、審査では私情は入れず楽譜通りに演奏なさる方よ。絋希さんは」
私情は入れず………。
どうしてか私は泣きそうだった。
心の奥底で天草さんが絋希さんとの事を…否定するだろうと思っていた。
「この大会そんなに難しいんですね。なんだか緊張してトイレに行きたくなりました。…失礼しますね」
私は慌てて控え室を出た。


