運命の人はお義兄様



天草さんが振り返ったので、おもいっきり目が合ってしまった。


私が気まずくておどおどしていると

「瀬野さん…ごめんなさいね。疑ってしまって…」
「い、いえ…では…」

私がその場から去ろうとした。

「初めてですの?コンクール」
「はい…。上手くないので怖くて出てませんでした」
「お上手になられたのね?」
「いえ…。ただ自分を試したくなっただけです。新しい学校に相応しいか…」
「そう。楽しみにしているわ」

天草さんっていい人なのかも…。
ちょっと誤解してた。


「でも、優勝は麗お姉様よ」

その言葉が発せられると皆が笑い始めた…。

天草さんまでも………。

「その様なこと言っては可哀想ですよ。初めてですのに…。
ごめんなさいね。瀬野さん?」

「いえ……」

なぜか私はあまり気付いた気がしなかった。


あの言葉を聞くまで――――…。