私の瞳には彼しか入らなかった。
「キャー。絋希様よ!!」
どうしてあなたがここに…???
「どうしたのですか?絋希さん。こんな所に来られて…」
「少し時間が空いたので…。それで彼女だけど」
絋希さんは私に一瞬視線を向けた。
「この人嘘のプロフィールをだしてるんです。私達の学校の名前を使っているんです!」
お嬢様の周りの方々が絋希さんに話し出した。
「ははっ。皆さんの思い違いですよ。彼女は今月からうちの生徒ですから、そのプロフィールは間違っていませんよ」
「え!?!?」
「編入してくるの!?」
「絋希さん。すみませんわ…。きちんと確認もせず騒ぎ立ててしまって…」
「僕は別に…。瀬野さんごめんね。生徒に君達の事を言わなかったから…」
瀬野…さ、ん。
「い、いえ。誤解が解けただけで十分ですから」
他人として接するんだよね…。
「初めてのコンクール頑張って下さいね」
「はい。頑張ります」
初めてコンクールに出ることが周りにわかってもらえれば、私の誤解も解ける気がした。


