刀が吸血鬼の首目掛けて払われる。
吸血鬼は素早く後ろに飛ぶとそのまま家の屋上に飛び上がる。

狩野は銃を拾う為に走る。必然的に背を向ける事になるが贅沢は言えない。
後ろから迫ってくる気配がするが振り向かない。

やっとその手が銃を掴む。
振り向き様に撃つ。

銃口が火を噴き。

薬莢が飛び散る。

吸血鬼は倒れると灰になって消えた。
やがてその灰さえも風に飛ばされて消える。

「死んだら形さえ残らない悲しき運命…か」

横に並んだ倉崎が呟く。
彼の方も終わったみたいだ。