狩野は銃を撃つ。
吸血鬼は銃弾より早く動き、手短にあった樽を投げてくる。

「げっ!マジかよ!」

狩野は横に飛んで逃げる。
その隙を衝いて吸血鬼が狩野の前に移動する。

「っち!」

狩野が銃を構えるが呆気なく蹴りとばされる。
何回転もした末に、壁にぶっかって止まる。
狩野は血の付いた唾を床に吐く。
銃は遠くに吹き飛ばされていて、届きそうもない。

「しゃぁない…やるか」

狩野が背中から刀を抜く。
吸血鬼用に銀で作られた刀だ。

「行くぞ!」

狩野は走る。
足から血が出ているのを忘れるかのようにひたすら吸血鬼を見続けて。