吸血鬼達と戯れを

男が由井の背中を押す。

呆気なく由井の体は柵を越えて、下に落ちる。

「由井!」

狩野はおもいっきり走る。
頑張れ。
俺なら出来るはずだ。

だって

だって

由井が死んだら俺はどうすれば良い?

町で俺達の帰りを待ってる人が居るじゃないか。

そいつらの苦労を無駄に出来るはずが無いだろ?

狩野はスライディングをして由井をキャッチする。
そのままの勢いで壁に衝突する。

「か…り…の…」

由井が涙を流す。

「どうして?あたしは死んだ方が良いのに…」
「俺も由井の事が好きだ。だから…死なせない。死ぬなんて言わないでくれ…」
「あ…たし…。…い、生きたい…。頑張って生きたいよ…」
「よし、安心しろ。俺が由井を守る」

狩野は立ち上がるとゆっくりと広場の真ん中に出ていく。