吸血鬼達と戯れを

「おい、兄ちゃん」

狩野が南門に向かって走っていると声をかけられた。

「吸血鬼か…」
「おいおい、銃を降ろせよ。戦う気は無いって」
「…あんた、洞窟で会った奴か?」
「覚えてくれたかい!嬉しいねぇ。因みに俺はジンって呼ばれてるんだ。宜しくな」

狩野達の目の前に吸血鬼が立ち塞がる。
狩野が銃を撃つ前に、ジンが吸血鬼を蹴り飛ばす。

「あんた…仲間じゃ無いのか?」
「ま、吸血鬼にも色々あるのさ。それより、あんた。人を探してるんだろ?」

狩野は頷く。

「捕まりな。俺が送ってやる」
「なんだと?」
「良いのか?彼女を助けたくないのか?」
「…何故、俺を助ける?」
「人間には貸しがあるからな。掴まれ!」

ジンが背中から巨大な羽を出すと空に飛び上がる。
狩野は慌ててジンの足を掴んだ。