最後の方は紙が濡れていた。
恐らく、由井の涙だろう。

その上に更に涙が落ちる。
狩野の涙だ。

「馬鹿野郎…。分かってたよそのくらい…。そんなん気にしないで良いじゃないか…」

狩野は紙の隅を凝視する。
ほんの薄くだが、赤くなっている。

「…血…か?」

その時、町にサイレンが鳴り響く。

『緊急事態!緊急事態!各方面から大量に吸血鬼が襲って来てます!その数約、数百!学園の生徒、OBは近くの門に向かってください!繰り返します……』

狩野は棚から刀と銃。

そして由井の手紙をポケットに仕舞うと家を飛び出す。