「なぁ、由井」

狩野が周りを警戒しながら声をかける。

「ん?何?」
「由井の両親は何してるんだ?普通、同伴は親が選ぶもんだろ?」
「あ〜。らしいね」
「まさかの家出少女!?」

由井が首を横に振る。

「あたしの親はあたしが幼い頃に死んだんだ」
「あ…。そうだったんだ。なんか悪いな」
「ううん。もう慣れた。狩野の親は?よく学園に入る事を許したね?」
「俺の親も居ないんだ。吸血鬼に殺されちまってさ」

由井の動きが止まる。

「どうした?」
「じゃぁさ、今も吸血鬼を恨んでる?」

狩野が悩む。

「昔は…な。だから学園に入ったんだよ」
「…今は?」

狩野は首を横に振る。

「きっと、何か理由があったんだよ。だから恨んでない。別に吸血鬼だから嫌いになるとかは無いさ」