「悪い、待った?」

狩野が南門に着くと既に由井が待っていた。

「ううん。大丈夫だよ」
「よっしゃ、ぼちぼち行くか」

二人は門番に会いに行く。
彼に許可を得ないと基本的には外には出れない。
まぁ色々方法があるけど、それは秘密にしておこう。

「高校二年。Bランクの狩野 新矢。同伴っす」

小窓から門番が顔を出す。

「お、兄ちゃんか。お!彼女かい?」
「違うよ。友達だよ」

門番が手元の紙に目を移す。

「ま、いっか。若者は良いねぇ。で、何処に行くつもりなんだ?」
「由井、大体どこらへん?」
「ここから少し行ったら廃墟があるの分かる?」
「元学校のか?」
「そうだよ」

門番がしかめっつらをする。