「地図くらい読めなきゃダメでしょ?」
「全く、面目無い…」
「ねぇ、狩野」

由井が深刻な声を出す。

「ん?なんだ?」
「悪いんだけど…同伴やってくれない?」
「外に行くのか?」
「ちょっと用事があってね」
「俺で良いなら構わないけど?」
「じゃぁ、南門に居てよ。あたしも直ぐ行くから」

そう言い残すと由井は走り去って行った。
狩野は体が動く事を確認する。

右足に違和感があるが後は問題がなさそうだ。

狩野は用意を済ますと南門へ向かう。
その途中でとある人物と会った。

「あ、狩野君!」

河井だった。

「おぅ。どした?」
「怪我は大丈夫なの?」
「まぁな。悪いけど人を待たせてるからまたな」

河井が止める間も無く、狩野は走り出す。
河井はその背中を見続けていた。