「今日はありがとうね」

由井が頭を下げる。
町まで何体かの吸血鬼と戦った。
やたら多く出会ったのが不思議だったが、たまたまだろう。

「じゃ、次からはしっかりと同伴とはぐれないようにな」
「うん、分かった」
「じゃ」

狩野が背を向けて帰る。
一度後ろを振り返ると由井の姿は消えていた。
恐らく家の中に入ったのだろう。

南門に向かうと倉崎が歩いてるのを見つけた。

「おい!倉崎!」
「ああ。狩野か。っち、逃がしちまったぜ」
「そっか。まぁ、気にするな」
「ちょっと!どいたどいた!」

いきなり声がして二人は道をあける。
二人が開けた道を二人の男が走り去る。
片方が片方を肩に担いで、担がれた方は全く動かない。

二人は目を合わせると学園に向かって走った。